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スリランカに恋して
 手土産


 スリランカ人ののんびりとした時間の使い方と楽観的な考え方は、予想通りといえばその通りだったが、意外だったのが気の使い方。時には日本人以上に細やかな気遣いをする。

 そのひとつが「手土産」。日本のお坊さんが、「最近、お寺に手土産を持ってくる人がめっきり少なくなった」と嘆いておられたが、お寺だけでなく、「手土産」の習慣が日本では廃れつつある。ところがスリランカでは、必ずといっていいほど手土産を持っていく。

 とにかくスリランカ人は、家を訪問し合うのが好きで、我が家もほぼ毎日来客がある。そしてそのほとんどが突然やって来る。彼らは皆、手に袋を下げていて、私や夫に渡すのではなく、テーブルの上にそっと置く。これが手土産である。

 手土産のほとんどはビスケットやケーキなどの甘い物。私が好きなのを知っていて、カルド(*水牛の乳を発酵させたヨーグルトのようなもの)を持ってきてくれる人も多い。そして訪問客には、食事時なら食事を、その前後の時間なら紅茶とお菓子を出してもてなす。

 当然、突然の来客に備えて、お菓子は常備しておかないとならないのだが、いただいた手土産は、次に来るお客さんに出すことができるので、買わなくても間に合ってしまうことが多い。

 不思議なもので、来る人来る人がビスケットを持ってくる週、アイスクリームを持ってくる週と、手土産の種類が重なることが多い。先日はなぜかバナナを持って来る人が多くて、デザートにバナナを食べる日が続いた。

 この手土産、訪問の目的によって持っていくものが決まっていることがある。新居祝いの僧侶への接待のときには砂糖、赤ちゃんが生まれた家には石けんなどのセットなど。私たちの新居祝いにはお菓子だけでなく、米や紅茶を持ってきてくれた人も。お葬式にはやはりビスケットなどを持っていく。

 ただ花を贈る習慣はあまりない。というより、生花を家の中に飾る習慣がないといったほうが正しいかもしれない。造花を飾る家はあるが、寺院にお供えをする以外は花をつんだり枝を折ったりしない。確かにどの家も庭には色とりどりの花が咲いていて、窓全開の家の中からはいつも庭が見えている。わざわざ家の中に飾る必要がないのかもしれない。



2004年9月18日



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